2025年10月10
不動産投資の基礎
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不動産投資を行う中で、「いつ売るべきか」「今が売り時なのか」と悩んだ経験は誰しもが一度は持つはずです。不動産は一度購入すれば、長期間にわたって保有するのが一般的ですが、いつかは手放す「出口戦略」が必要となります。
特に、売却のタイミングによっては大きな利益を得られる一方で、判断を誤ると想定外の損失を抱えてしまうリスクもあります。
この記事では、投資不動産を売りたいと思ったときに損をしないために知っておきたい基準やタイミング、実際に売却を進める手順までを丁寧に解説します。
目次(Index)
マンション投資を成功させるためには、購入や運用と同じくらい「手放し方」も重要です。この“手放す”タイミングや方法を指すのが「出口戦略」です。
出口戦略が明確であるほど、投資全体のリスクを低減し、想定以上の利益を確保しやすくなります。
逆に、出口を曖昧にしたまま運用を続けていると、売却益を逃したり、余計な税負担を背負ったり、最悪の場合は損失で終わることもあります。
最も代表的な出口戦略が、物件の売却によって売却益(キャピタルゲイン)を得る方法です。
たとえば、エリア価値が上昇していたり、タイミングよくリフォームを施したことで買い手にとって魅力的に映る状態にしてから売却すれば、まとまった利益を得ることも可能です。
ただし、売却時には仲介手数料や譲渡所得税などのコストが発生しますので、想定よりも利益が少なくなるケースもあります。市況が下がっている場合には、そもそも売却が困難になる可能性もあるため、市場動向を見極める力が求められます。
売却を前提とせずに長期保有することで、家賃収入(インカムゲイン)を安定的に得る戦略もあります。
この方法では、マンションを所有し続け、毎月の賃料収入を目的とします。ローン返済が完了した後は、実質的に月々の収益がそのままオーナーの収入となるため、将来の年金代わりとして活用する人もいます。
マンションが駅近や利便性の高い立地にある場合は、長期間にわたり安定した入居者を確保しやすく、収益の見通しも立てやすくなります。
ただし、築年数の経過とともに修繕コストが増加したり、家賃の下落リスク、空室リスクが高まったりする点は注意が必要です。
近年注目されているのが、相続や贈与による資産承継という出口戦略です。物件を売却せずに家族へ引き継ぐことで、資産形成や節税を図る考え方です。
相続税対策として、現金ではなく不動産を残すという方法は有効であり、特に築年数が進んだ物件は評価額が低くなるため、相続税の負担が軽減される場合があります。
ただし、不動産は分割が難しい資産であるため、相続人間でのトラブルを防ぐためには、事前の対策や遺言書の整備が欠かせません。
複数の区分マンションや一棟マンションを所有している投資家にとっては、複数の物件をまとめて売却する「ポートフォリオ売却」が有効な出口戦略となります。
物件の収益性や管理状態を数値で示すことができれば、法人やプロの投資家に対して高い評価を得やすくなり、市場価格以上での売却が実現する可能性もあります。
特に、収益物件として実績がある場合やエリアの将来性が見込まれる場合は、買い手がつきやすい傾向があります。
ただし、空室が多かったり、賃貸収益にばらつきがあると、想定よりも安値での売却になってしまうおそれもあります。

不動産投資の売り時は、単に高く売れそうなタイミングというだけではありません。運用期間中の家賃収入と、売却によるキャピタルゲインのバランスを見ながら、「どのタイミングで売れば最も利益が残るか」を冷静に見極める必要があります。
たとえば、家賃収入が安定していても、将来的に賃料下落や修繕コストの増加が見込まれる場合、早めに売却した方がトータルの収益が高くなることもあります。「高く売れる」だけでなく、「今後の利益との比較」で判断することが、失敗しない売却判断の基本です。
築年数の経過とともに、物件の資産価値は少しずつ下がっていきます。特に、築20年を超えると修繕リスクが高まり、建物の老朽化によって入居率にも影響が出やすくなります。
さらに、売却時の査定価格にも影響を及ぼすため、価値が急落する前に出口を選ぶことは非常に重要です。
リフォームや大規模修繕の前後で売却するかどうかの判断も、投資家にとっては大きな分かれ道となります。「売りたい」と思ったときが適切な判断タイミングかどうかを、客観的な指標で確認することが求められます。
不動産の価格は個別の物件状況だけでなく、エリアの需給バランスや金利動向、経済情勢など、外部要因によっても大きく左右されます。
たとえば、都心部の再開発が始まるエリアでは、売却価格が一時的に高騰することがありますし、逆に人口減少や空室率の増加が続いている地域では、今後の価格下落が避けられないケースもあります。売り時を判断する際には、こうしたマクロな視点からの判断も欠かせません。

不動産を売却する際、もっとも注意すべきは「ローン残債との兼ね合い」です。
売却価格がローン残高を下回っている場合、差額を自己資金で補填する必要があります。いわゆる「オーバーローン」の状態では、売りたいと思っても売れない、という状況に陥ってしまうため、事前に現在のローン残高と、想定される売却価格を比較しておくことが必要です。
不動産会社に査定を依頼し、市場でどれくらいの価格で売れそうかを把握することで、現実的な売却計画が立てやすくなります。
物件からの家賃収入が、修繕費や管理費、固定資産税などの維持コストに対して十分な利幅を保っているかも、売却を判断する重要なポイントです。
年数が経つほど修繕の頻度は高まり、また入居者の入れ替わりや家賃の下落も想定されます。キャッシュフローが悪化し始めた段階で「売りたい」と感じたとき、それが一時的なものなのか、それとも今後も継続する傾向なのかを冷静に分析することが求められます。
不動産を売却した際には、譲渡所得に対して所得税と住民税が課されます。とくに5年以内に売却する「短期譲渡」は約39%の課税となるため、売却益が大きい場合にはかなりの税負担が発生します。
一方で、5年を超えて所有していれば「長期譲渡」となり、税率は約20%まで抑えられます。売却時期が所有5年の節目をまたぐかどうかで、手取り額が大きく変わるため、売り時の判断にはこのような税制面の視点も欠かせません。
「売りたい」と思ったとき、最初にすべきことは複数の不動産会社に査定を依頼することです。
一社だけに依頼すると相場を見誤ることがあるため、複数の会社の査定結果を比較することが大切です。この時点では机上査定でも構いませんが、より正確な価格を知りたい場合は現地査定を受けるのが望ましいです。
査定価格だけでなく、販売実績や地域密着度、売却までの平均期間なども確認し、信頼できるパートナーを見極めましょう。
不動産の売却には、仲介手数料(物件価格の3%+6万円+税)、司法書士報酬、印紙税、住宅ローンの抵当権抹消費用など、さまざまな諸費用が発生します。
また、場合によってはリフォームやクリーニングなど、物件価値を維持するための費用がかかることもあります。売却益を見積もる際には、これらの費用を差し引いた「実際に手元に残る金額」をしっかりシミュレーションしておくことが重要です。
不動産を売却するということは、まとまった資金が一時的に手元に入るということでもあります。だからこそ、その資金をどのように活用するかを明確にしておく必要があります。
たとえば、新たな不動産に買い替えるのか、住宅ローンの繰り上げ返済に使うのか、それとも現金資産として保有するのか。さらに、売却益に対する税金の納付も考慮し、確定申告の準備も進めておきましょう。
売却によって得られる利益は、単純な売却価格から購入価格を引いた差額ではありません。そこに諸費用や税金を加味し、トータルでどれだけの利益が出るのかを計算する「売却シミュレーション」は欠かせません。
売却後の資産残高やキャッシュフローの変化まで見据えておくことで、「売るべきかどうか」をより正確に判断できます。
不動産価格は短期間で大きく変動するものではありません。しかし、ニュースやメディアの情報に過敏になりすぎると、冷静な判断ができなくなることもあります。
一時的なトレンドや噂に流されて「今すぐ売った方がいいかも」と焦ってしまうと、本来得られたはずの利益を手放してしまうことにもつながります。市場を正しく読み、長期的な視点で判断することが成功への近道です。
不動産売却には専門知識が欠かせません。税務、法務、市場動向に明るい専門家のサポートを受けることで、思わぬ落とし穴を回避できることもあります。
とくに、「売りたいけれど判断に迷っている」という場合は、一度税理士や不動産コンサルタントなどに相談してみるのがおすすめです。自分では気づかなかった視点から、適切なアドバイスが得られるかもしれません。
不動産投資における「売り時」とは、単に価格が高いタイミングを狙うことではありません。
ローン残債や維持コスト、税負担などをトータルで考慮し、「今売るべきかどうか」を冷静に見極める判断力が求められます。焦らず、正確なシミュレーションと信頼できる情報をもとに判断を下すことで、後悔のない売却と次の投資ステージへのステップアップが実現できるでしょう。
不動産投資は買って終わりではなく、「売って初めて完結する」その視点を持つことが、成功する投資家への第一歩となります。
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