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2025年10月31

不動産投資の基礎

不動産投資で得た売却益にはどんな税金がかかる?仕組みと節税対策をわかりやすく解説

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  • 不動産投資ってどういう仕組みは?
  • 不動産投資のメリット・デメリットは?
  • 不動産投資のリスクは?
  • 不動産投資の他の資産形成の違いは?
  • 不動産投資はどのエリアがおすすめ?

不動産投資で長年保有していた物件を売却し、まとまった利益が出たとき、多くの人が最初に直面するのが「税金」の問題です。

せっかく得られた売却益が、予想以上の税負担で大きく目減りしてしまうことも珍しくありません。

税制に対する不安や疑問を抱く投資家は少なくないでしょう。

この記事では、不動産売却時に課される税金の種類や計算方法、所有期間による違い、そして合法的に税負担を軽減する方法まで、投資家が押さえておきたい知識を詳しく解説します。

税金の仕組みを理解することで、出口戦略の設計もより確かなものになるはずです。

不動産売却時に課される主な税金とは

売却益に対してかかる「譲渡所得税」

不動産を売却した際に利益が出た場合、その「売却益(=譲渡所得)」に対して課税されるのが譲渡所得税です。この税金は、所得税と住民税の合計額として課税され、会社員の給与所得などとは別に計算されます。

譲渡所得は、売却価格から「取得費(購入金額や仲介手数料など)」と「譲渡費用(売却時にかかった仲介手数料や測量費用など)」を差し引いた金額が対象になります。

赤字になった場合は税金は発生しませんが、利益が大きい場合には確定申告が必須となり、申告を怠ると延滞税や無申告加算税のリスクもあります。

さらに、相続で取得した不動産を売却した場合も課税対象になるため、取得費の不明なケースでは「概算取得費(売却額の5%)」で計算せざるを得ず、課税額が多くなる恐れもあります。そのため、購入時の契約書や領収書などをしっかり保管しておくことが大切です。

所有期間によって変わる税率

譲渡所得税の最大の特徴は、物件の所有期間に応じて課税税率が大きく異なる点です。

取得から売却までの所有期間が5年以下の場合、「短期譲渡所得」となり、所得税30%、住民税9%の合計39%が適用されます。一方、5年を超えて保有していた場合は「長期譲渡所得」となり、所得税15%、住民税5%の合計20%に軽減されます。

なお、所有期間の判定は、購入した年の翌年1月1日を起算日として計算されるため、たとえば2019年5月に購入した不動産は、2025年1月1日以降に売却することで長期譲渡所得扱いになります。

売却のタイミングによって、課税率が半分近く変わることもあるため、売却のスケジュール調整も有効な節税手段となります。

復興特別所得税も忘れてはいけない

さらに2013年からは、東日本大震災の復興財源確保のために導入された「復興特別所得税」も譲渡所得税に加算されます。これは、所得税額に対して2.1%を上乗せする形で課税されます。

したがって、実際の税率は短期譲渡所得で約39.63%、長期譲渡所得で約20.315%となります。

このわずかな税率差でも、たとえば売却益が2,000万円ある場合、長期と短期では課税額が約390万円も違うことになります。税負担のインパクトは決して小さくありません。

加えて、住民税は翌年の6月から1年間にわたって課税されるため、資金計画にも注意が必要です。売却の際は、事前に税理士や不動産会社に相談し、譲渡所得のシミュレーションを行っておくことを強くおすすめします。

売却益(譲渡所得)の計算方法を正しく理解する

不動産を売却する際には、実際にいくら利益が出たのか=譲渡所得の金額を正しく算出することが非常に重要です。

単に「買ったときより高く売れたから利益が出た」という感覚だけで納税額を見積もるのは危険です。

税務上のルールに基づいた詳細な計算が求められ、計算方法を誤ると不要な税負担が生じたり、逆に申告漏れによる追徴課税につながる可能性もあります。正確な算出式や各費用の内訳をきちんと理解しておくことが、賢い売却の第一歩となります。

譲渡所得の基本的な算出式

譲渡所得の計算式は次の通りです。

譲渡所得 = 売却価格 -(取得費 + 譲渡費用)

ここでいう「取得費」とは、単なる購入金額だけではありません。仲介手数料、登記費用、契約書の印紙税、リフォーム費用(資産価値を高めるもの)など、取得に要した実費がすべて含まれます。

一方「譲渡費用」とは、売却にあたって必要だった支出を指し、たとえば不動産仲介手数料、土地の測量費、建物の解体費用、司法書士報酬、広告費などが該当します。

これらを正確に反映させることで、課税対象となる金額=譲渡所得を合法的に圧縮することが可能です。領収書や契約書などの証拠書類の保管も非常に重要で、税務署から説明を求められた際の根拠になります。

減価償却による取得費の調整

特に賃貸アパートやマンションなど、投資用として所有していた物件の場合は注意が必要です。こうした物件は、毎年の確定申告で減価償却を行い、建物の帳簿価額を徐々に減らしていく仕組みになっています。

減価償却後の「簿価」が取得費として扱われるため、購入時には2,000万円だった物件でも、長年の償却で帳簿上はほぼゼロになっているケースもあります。この場合、売却額の大部分が「譲渡益」として扱われるため、本来よりも大きな税負担が発生します。

たとえば、築20年以上の木造アパートをフル償却していた場合、建物の取得費はゼロに近くなり、売却価格の全額に近い金額が課税対象となることも。過去の償却記録や帳簿残高は、売却前に必ず確認し、納税資金の準備や売却価格の戦略に役立てましょう。

実際の計算例をイメージする

計算式だけでは分かりづらいので、具体的なシミュレーションを通じて譲渡所得の算出をイメージしましょう。

たとえば以下のようなケースを考えます。

  • 購入価格:2,000万円
  • 減価償却後の簿価:1,000万円
  • 売却価格:2,500万円
  • 売却にかかった経費(仲介手数料など):100万円

この場合、譲渡所得は

2,500万円 -(1,000万円+100万円)= 1,400万円

この1,400万円に対して、長期譲渡の税率20.315%(所得税+住民税+復興特別所得税)をかけると、

約284万円が納税額になります。

このように、実際に手元に残る金額は「売却額-納税額-その他返済費用」などを考慮してシミュレーションする必要があります。ローン返済がある場合や再投資を考えている場合には、なおさら正確な収支計算が欠かせません。売却前に試算を行うことで、納税資金の準備や価格設定、売却時期の見直しといった戦略的な判断が可能になります。

知っておきたい節税対策と特例制度

不動産の売却に伴う税負担は非常に大きくなることがありますが、一定の条件を満たせば、大幅に税額を抑えることができる節税制度や特例が用意されています。

これらを知らずに売却を行ってしまうと、本来なら不要だった税金を支払ってしまうリスクがあります。

特に、自宅の売却や赤字での売却など、ケースによって適用できる制度が異なるため、売却を検討し始めた段階で、制度の内容と適用条件を把握しておくことが重要です。

3000万円特別控除の活用条件

「3,000万円特別控除」は、マイホームを売却する際に譲渡所得から最大3,000万円までを非課税にできる制度です。これは非常に強力な節税策で、たとえば譲渡所得が3,000万円以下であれば、税金が一切かからずに売却できることになります。

ただし、適用されるためにはいくつかの条件があります。

  • 売却した不動産が自分自身または家族の居住用であること(単に所有していただけでは不可)
  • 売却した年の前年および前々年に同じ特例を受けていないこと
  • 親族など特別な関係者への売却ではないこと
  • 譲渡した日以前に住まなくなってから3年目の年の12月31日までに売却していること

また、居住用と賃貸用が併用されていた物件については、居住部分に相当する部分だけ控除の対象になるなど、細かい区分計算が必要なケースもあります。引っ越しのタイミングや賃貸履歴などが重要な判断材料となるため、事前に不動産会社や税理士に相談しておくと安心です。

買い替え特例で課税の繰り延べが可能に

「買い替え特例」とは、マイホームを売却して新たなマイホームに買い替えた場合に、譲渡益の課税を繰り延べられる制度です。

これにより、今すぐ税金を支払う必要がなくなり、将来的に新居を売却した際に初めて課税される仕組みになります。資金繰りを優先したい場合や、将来的に不動産価格の上昇が見込まれるエリアへの住み替えを検討している方には、有効な選択肢となります。

ただし、この制度にもいくつかの厳格な要件があります。

  • 旧宅の所有期間が10年以上であること
  • 買い替え先の不動産が自己の居住用であること
  • 買い替え後1年以内に居住を開始すること
  • 旧宅の譲渡価格が1億円以下であること(など)

また、買い替え特例を適用した場合、3,000万円特別控除との併用はできません。どちらを選ぶべきかは、譲渡益の大きさや今後の売却計画を踏まえて判断する必要があります。

繰り延べた税金は将来の負債となる側面もあるため、中長期的な資産設計の視点も欠かせません。

譲渡損失が出た場合の損益通算

不動産を売却した結果、譲渡損失(赤字)が発生した場合でも、それが無駄になるわけではありません。損益通算という仕組みを活用することで、他の所得(たとえば給与や事業所得)と相殺することが可能です。これにより、結果的に年間の所得が減少し、所得税や住民税の軽減が期待できます。

特に、住宅ローンが残っている状態で不動産を売却したケースでは、「住宅ローン控除付き譲渡損失の損益通算および繰越控除」という制度が活用できる場合があります。以下のような要件が主な条件です。

  • 売却した不動産が自宅用であったこと
  • ローンの残債が売却価格を上回っていること
  • 売却の相手が親族などの特別関係者でないこと

通算しきれなかった損失については、翌年以降に最大3年間繰り越して控除が可能です。つまり、複数年にわたって税負担を軽減する効果が見込めるのです。

なお、これらの制度を利用するには確定申告が必須です。損失が出た場合でも適切に申告することで、のちの節税効果を最大化できます。売却がマイナスになったからといって悲観せず、戦略的に活用していくことが資産管理において重要です。

税金対策としての事前準備と相談先

売却前に行うシミュレーションの重要性

不動産を売却する際には、税金も含めた収支シミュレーションを事前に行うことが不可欠です。

売却価格がいくらになりそうか、取得費と譲渡費用を正確に計算したうえで、税負担を予測しておくことが、手取り額の把握と節税の両方に役立ちます。

とくに投資用物件では、減価償却が進んでいるほど税金のインパクトが大きくなるため、売却のタイミングや戦略を慎重に練ることが求められます。

税理士に相談して制度活用の可能性を探る

不動産の売却には、税務上の判断が複雑に絡む場面が多くあります。

税率や控除の適用要件、帳簿上の減価償却の計算などは、素人判断では対応が難しい部分です。そうした場合は、税理士に相談するのが最善の選択です。

確定申告の代行だけでなく、節税のアドバイスや適用できる特例制度の提案など、専門的な視点でサポートしてくれるため、不要な税負担を回避することができます。

書類の保管と記録の徹底

取得費や譲渡費用を正確に申告するためには、購入時や売却時の契約書、領収書、登記関係書類などの保管が非常に重要です。

これらの書類が不足していると、経費として認められず、結果として課税対象が増えてしまうこともあります。売却を見据えている場合は、早い段階から資料を整理しておくことで、スムーズに確定申告を行うことができます。

まとめ|不動産売却で得た利益を無駄にしないために、税金の知識は必須

不動産投資において、売却益は大きな成果である一方で、そのまま手元に残るわけではありません。

「不動産投資 売却益 税金」というテーマにあるように、税金は出口戦略の中でも極めて重要な要素であり、事前に知識と対策を持っておくかどうかで最終的な利益は大きく変わります。

税率の仕組み、計算方法、節税制度の活用、そして専門家との連携、これらを組み合わせて初めて、真に有利な売却が実現します。投資を成功で終わらせるためにも、「税金」を後回しにせず、最初から戦略に組み込んでおくことが、堅実な投資家への第一歩です。

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