不動産投資をしている人のふるさと納税の控除限度額は？確定申告の方法も解説

ふるさと納税の仕組み

ふるさと納税は、日本の税制制度の一環として2008年に導入されました。この制度は、税金を支払う個人が自分の住んでいる地域以外の自治体に寄付を行い、その寄付金額の一部を所得税や住民税から控除できる仕組みです。主な目的は、地方自治体の財源を増やし、地域振興を促進することにあります。

• 寄付先選定：寄付者は全国の自治体から寄付先を自由に選びます。多くの自治体では、地域の特産品やサービスを返礼品として提供しており、その内容も寄付先選定の一因となっています。
• 寄付の実施：寄付は指定された自治体の公式ウェブサイトやふるさと納税ポータルサイトを通じて行います。寄付金額は自由に設定できますが、控除限度額があります。
• 控除申請：寄付をした翌年の確定申告時に、寄付金控除を申請します。ワンストップ特例制度を利用することで、確定申告を省略して手続きを簡略化できる場合があります。

ワンストップ特例制度は確定申告が必要ない給与所得者でも、ふるさと納税の控除を受けられるようにするための制度です。条件を満たし、必要な書類を寄付先の自治体に提出することで、確定申告をせずに所得税と住民税からの控除を受けることができます。

注意点としては控除限度額を超えた寄付を行った場合、超過分の控除は受けられません。また返礼品の価値が寄付金額の3割を超える場合や、現金・金券等が返礼品として提供される場合、その部分は控除の対象外となります。

ふるさと納税は、寄付を通じて地域貢献ができるだけでなく、自らの税負担を有効に活用できる制度です。しかし、控除を最大限活用するためには、自身の控除限度額を正確に理解し、適切な手続きを行う必要があります。

不動産所得がある場合にふるさと納税をするメリット

不動産所得があるとふるさと納税の控除限度額が上がる

ふるさと納税の控除限度額は年収や家族構成、寄付をする人の所得額によって異なります。不動産所得がある場合、その所得が総収入に加算されるため、控除限度額が上がる可能性があります。控除限度額内であれば、寄付金額のほとんどが所得税と住民税から控除されるため、実質的な自己負担額は少額（2,000円程度）になります。

不動産所得は賃貸物件からの家賃収入など、不動産を利用して得た所得を指します。この所得が年間の総収入に加わることで、所得税率が高い区分に移行することもあります。ふるさと納税の控除限度額は所得に応じて設定されるため、不動産所得によって総収入が増加すると、より多くのふるさと納税を行った場合でも税金控除の恩恵を受けることが可能になります。

ふるさと納税の控除限度額を正確に知るには、国税庁の提供する「ふるさと納税ワンストップ特例制度」の計算ツールや、各自治体が提供する計算システムを利用すると良いでしょう。

不動産投資によって増えた所得税・住民税の控除の控除

不動産投資から得られる所得が増えると、それに応じて所得税及び住民税の税率が高くなる可能性があります。ふるさと納税を行うことで、これらの増加した税額に対して控除を受けることが可能となり、結果として全体の税負担を軽減できます。

ふるさと納税の控除は所得税から先に行われ、その後住民税から控除されます。所得税の控除を受けた後に余剰がある場合のみ、住民税から控除される仕組みです。

不動産所得がある場合の控除限度額の計算方法

ふるさと納税の控除限度額は、給与所得者の場合、「給与収入＋その他の所得（不動産所得含む）－必要経費」に基づき計算されます。不動産所得がある場合、その所得は「その他の所得」に含まれるため、全体の所得が増え、結果として控除限度額も増加します。

「給与収入＋その他の所得（不動産所得含む）－必要経費」

不動産所得がある場合のふるさと納税の控除限度額は、その人の年収、家族構成、その他の所得額に基づいて計算されます。ここで、具体例を用いて計算方法を紹介します。仮定として、以下の条件を設定します。

• 年収（給与所得）：500万円
• 不動産所得：100万円
• 家族構成：配偶者あり（専業主婦）、子どもなし

この場合、総所得額は給与所得と不動産所得を合わせた600万円となります。

控除限度額は総所得額や家族構成に応じて変わります。総所得額に応じた控除額の基準表を参照します。国税庁が提供するふるさと納税の控除限度額計算ツールを使用するか、自治体や専門家が提供する計算式に基づいて計算します。

この例では、総所得600万円の場合、簡易的な計算では具体的な数値を直接示すことは難しいため、国税庁の計算ツールの利用を推奨します。しかし、総所得が高くなるほど控除限度額も高くなるため、不動産所得があることでより多くのふるさと納税が可能になり、それに伴って得られる税の控除も大きくなります。

控除限度額は、ふるさと納税した総額に対して適用されますが、実際に控除されるのは所得税と住民税です。これらの税額には上限があり、それを超える寄付に対しては控除を受けられません。

確定申告を行うことで控除を受けられますが、ワンストップ特例制度を利用することで確定申告を省略できる場合があります。ただし、不動産所得がある場合は、その他の所得を確定申告する必要があるため、特例制度を利用できないことが多いです。

不動産所得がある場合のふるさと納税の注意点

ふるさと納税は節税ではない

ふるさと納税は、地方自治体への寄付であり、一般的には節税の手段ではありません。不動産所得がある場合、ふるさと納税を行うことで税金が減額されるわけではありません。なぜなら、不動産所得税や所得税などの税金は、ふるさと納税を行ったからといって自動的に免除されるわけではないからです。

ふるさと納税は、寄付した金額に対して一定の地方税が免除される制度であり、寄付金額の一部が地方税額控除として使われることがありますが、所得税や不動産所得税には直接関係ありません。したがって、ふるさと納税を行っても不動産所得税や所得税が減額されるわけではないため、注意が必要です。

不動産所得がある場合、控除限度額内であればふるさと納税による税金控除の恩恵を受けられます。控除限度額を超えた寄付を行った場合、超えた分の税金控除は受けられません。自身の控除限度額を正確に把握し、適切な寄付額を計算することが重要です。

副業として不動産投資を行っている場合は会社に知られてしまう

ふるさと納税の際に注意すべき点は、副業として不動産投資を行っている場合、会社にその事実が知られる可能性があることです。これは、ふるさと納税の申請書類に記入する際に、所得や資産の情報が開示されるためです。

会社によっては従業員の副業に関する規定があり、不動産投資が許可されていない場合、問題が生じる可能性があります。したがって、ふるさと納税を行う際には、個人情報の開示や会社のポリシーを確認することが重要です。

高額の返礼品は課税対象になる

ふるさと納税の際に不動産所得がある場合、高額の返礼品は課税対象となります。これは、返礼品が所得の一部と見なされ、その価値が一定の金額を超える場合には課税されるからです。

つまり、高額な返礼品は追加の収入として扱われ、不動産所得と合算されて課税対象となります。税法上、ふるさと納税の返礼品は非課税となる場合もありますが、その金額や種類によっては課税されることを理解しておく必要があります。

20万円を超えるとワンストップ特例制度ではなく確定申告が必要

ふるさと納税の注意点として、不動産所得がある場合、20万円を超えるとワンストップ特例制度ではなく確定申告が必要となります。

これは、所得税法において、不動産所得が20万円を超える場合は、ふるさと納税の寄付金控除を受けるためには、寄付額に対する寄付金控除の申告が必要とされるためです。

この制度は、寄付金が一定額以下の場合は特例措置として、確定申告を省略することができるものであり、20万円を超える場合はこの特例の対象外となります。そのため、20万円を超える不動産所得の場合は、確定申告を行う必要があります。

不動産所得がある場合のふるさと納税のやり方

不動産所得がある場合のふるさと納税の始め方は以下の通りです。

自治体のウェブサイトを確認する

寄付を行いたい自治体のウェブサイトを訪問し、ふるさと納税の情報を確認します。各自治体のふるさと納税のページには、寄付の方法や対象となる返礼品の情報が掲載されています。

寄付先を選択する

自治体のウェブサイトで、寄付先となる市町村を選択します。不動産所得がある場合、特にその地域に興味がある場合や、寄付金が必要な地域に寄付をしたい場合には、その自治体を選択します。

実際に寄付を行う

選択した自治体のふるさと納税ページで、寄付金額を入力し、寄付を行います。寄付金額に応じて返礼品が提供される場合がありますが、不動産所得がある場合は、特にその点を確認しておくと良いでしょう。

控除申告のための情報収集

寄付を行った後は、確定申告の際に寄付金控除を受けるために必要な情報を収集しておきます。寄付をした自治体から送られてくる寄付金受領証明書や領収書などを保存しておくことが重要です。

確定申告時に寄付金控除を申告する

確定申告の際に、収集した情報を元に寄付金控除を申告します。不動産所得が20万円を超える場合は、確定申告が必要となりますので、寄付金控除の申告もその際に行います。