2022年11月24
不動産投資の節税
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実は不動産投資は相続税対策として注目を集めています。2015年に相続税の税制が改正されて基礎控除額が引き下げられたことによって課税対象の範囲が広がりました。
相続税対策として不動産投資が有効な理由や仕組みについて解説していきます。
目次(Index)
相続税とは、死亡した人から財産を受け継ぐときに課される税金のことです。昭和25年3月に施行された「相続税法」に基づいて課税されます。相続税は日本人だけでなく、日本に住む外国人にも適用される税金です。
仮に日本で死亡した場合、故人が海外で所有している資産も課税対象となります。なお、相続が発生したからといって、必ずしも相続税を支払うわけではありません。支払い義務が発生するのは、国税庁が定めた「基礎控除額」を上回る場合のみであり、基準に満たなければ相続税の申告や支払いは必要ありません。
基礎控除額の計算方法は、以下の通りです。
3,000万円+600万円×法定相続人の数
法定相続人とは民法で定められた相続人のことで、簡単に言えば財産を受け取る人を指します。故人(被相続人)の配偶者は常に法定相続人となり、相続を放棄しない限り配偶者は必ず財産を受け取れます。
そのほか、血縁関係のなかでも優先順位が決まっており、「子ども・孫」「父母・祖父母」「兄弟・姉妹」の順で法定相続人が決定します。この法定相続人に該当する人物が1人の場合は3,000万円+600万円×1となり、合計3,600万円が控除されるのです。
財産には相続税の対象となるものとならないものがあります。課税される財産は、不動産(土地や建物)や金融財産(現金や株式など)、自動車といった金銭的価値があるものです。一方、墓石や死亡時に支払われるお金(保険金や退職金など)は相続税の対象になりません。
ただし、死亡に伴って支払われる保険金や退職金などは「みなし相続財産」と呼ばれ、民法上は相続税の対象になりませんが、相続人が受け取った場合にのみ課税対象となります。このみなし相続財産にも控除制度があり、「法定相続人の人数×500万円」で算出された金額には相続税がかかりません。
もし相続税が基礎控除額を超えているのであれば、申告および納税が必要です。どちらも期限は、被相続人が亡くなった翌日から10ヶ月以内と決まっています。
期限までに財産を分割出来なかった場合は仮の相続税申告が可能であり、確定してから再度申告・納税を行うことが許されています。なお、申告や納税が必要であるにも関わらず、放置している場合には無申告加算税・延滞税・重加算税の対象となり、結果的に支払う税額が大きくなります。
相続税を納めるのは「財産を受け継いだ人」ですが、そのなかでも相続・遺贈・死因贈与の3パターンに分かれます。
法定相続人の場合は「相続」、遺言によって財産を受け継いだ場合は「遺贈」、故人が亡くなる前に財産受け渡しに関する約束を交わした場合は「死因贈与」と呼ばれます。
相続税の種類 | 条件 |
---|---|
「相続」 | 法定相続人 |
「遺贈」 | 遺言によって財産を受け継いだ人 |
「死因贈与」 | 故人が亡くなる前に財産受け渡しに関する約束を交わした人 |
相続税を算出する際に、不動産の建物は固定資産税評価額の約7割、土地は路線価・固定資産税評価額の約8割で評価されます。そのため、相続する財産を現金ではなく不動産にしておくことで、約7~8割だけが相続税の課税対象になるため節税効果があると言われています。
建物:固定資産税評価額
土地:路線価・固定資産税評価額
相続税評価額は1回/1年ですが、固定資産税評価額は1回/3年なので、時価の約7~8割程度の相続税評価額に抑えることができます。
例えば、不動産の相続で時価が建物1,000万円、土地1,000万円で合計2,000万円の場合、相続税評価額は、建物は固定資産税評価額の約7割なので700万円、土地は約8割なので800万円で評価されて、課税評価額を1500万円まで圧縮ができます。
不動産は自分で住むよりも第三者に貸し出すことで相続税評価額が下がる仕組みになっています。不動産を賃貸する場合の土地と建物に分けて相続税評価額を計算していきましょう。
自分が所有者の土地にマンションやアパート等を建設し第三者に貸し出している土地のことを貸家建付地と呼びます。貸家建付地の相続税評価額の計算方法は下記になります。
土地(自用地の場合)の相続税評価額
-(自用地の場合の土地の相続税評価額×借用地割合×借地権割合×賃貸割合)
各項目の条件は下記になります。
先ほどの建物1,000万円、土地1,000万円で合計2,000万円の場合、貸家建付地の相続税評価額は下記になります。
1,000万円×80%-(1,000万円×80%×60%×30%×100%)
=800万円-144万円=656万円
現金を不動産に変えただけの更地の場合、1,000万円×80%=800万円になりますが、さらに貸家建付地にすることで800万円-656万円=144万円も相続税評価額を抑えることが可能です。
※あくまで計算は概算になります。
マンションやアパートなどの賃貸用の建物の相続税評価額の計算方法は下記になります。
固定資産税評価額-(固定資産税評価額×借家権割合×賃貸割合)
各項目の条件は下記になります。
先ほどの建物1,000万円、土地1,000万円で合計2,000万円の場合、貸家建付地の相続税評価額は下記になります。
1,000万円×70%-(1,000万円×70%×30%×100%)
=700万円-210万円=490万円
普通の住居用建物の場合、1,000万円×70%=700万円になりますが、さらに賃貸用建物にすることで700万円-490万円=210万円も相続税評価額を抑えることが可能です。
※あくまで計算は概算になります。
まとめると元の相続財産が2,000万円で不動産化しさらに賃貸用にすることで、最終的に約50%程度抑えた1,164万円程度に相続税評価額を抑えることが可能になります。
土地 | 建物 | 合計 | |
---|---|---|---|
相続財産 | - | - | 2,000 |
現金→不動産 | 800 | 700 | 1,500 |
住居用→賃貸用 | 574 | 490 | 1,164 |
※あくまで計算は概算になります。
不動産投資を行うことで相続税対策に繋がりますが、相続税を申告した時に税務署より調査が行われます。その際に明らかに相続税対策と断定されてしまうと税務署より指摘を受けて無効になることがあります。代表的なケースは下記になります。
基本的に税務署の判断になるため明確な指標はありませんが、相続税対策が無効になるとせっかく被相続人から相続した不動産が相続税評価額ではなく時価評価額で申告することになるため不動産投資をしたメリットが活かせなくなります。
相続税対策として不動産投資を行うことは有効な手段ではありますが、需要の少ないエリアの不動産を購入してしまうと入居者が付かず家賃収入が入らない「負動産」となることがあります。
代表的な例でいうと、地方の一棟アパートは高利回りですが、賃貸需要が少なく空室リスクが高いので思うように入居者が付かないことがよくあります。その点都心の区分マンションは単身者の賃貸需要があるので空室リスクを抑えることができます。
また中古マンションの場合、修繕費がかさむことがあり思いもよらない出費でキャッシュフローが悪くなることもあります。新築マンションは空室リスクが低く、最新の設備等が導入されているため修繕リスクも抑えることができます。
相続人が複数いる場合、1つの不動産を相続することは困難な時に、誰が相続するかというので揉めるケースがあります。相続人が複数人いつ場合の不動産の相続方法は下記のいずれかになります。
「現物分割」:不動産を均等に分割して取得する方法。しかし、厳密に不動産価値を分割することができないため偏りが発生することもあります。
「代償分割」:不動産を相続する人を決めて、相続後に残りの相続人に対して現金を分配する方法。
「換価分割」:不動産を売却して、相続人全員に現金を分配する方法。
残された家族・親族で話し合って、全員が納得できる相続方法を決定しましょう。
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