不動産投資・管理する上で押さえておきたい「PM・BM・FM」の違い

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  • 不動産投資ってどういう仕組みは?
  • 不動産投資のメリット・デメリットは?
  • 不動産投資のリスクは?
  • 不動産投資の他の資産形成の違いは?
  • 不動産投資はどのエリアがおすすめ?
目次

PM・BM・FMの違い

プロパティマネジメント(PM:Property Management) 

プロパティマネジメント(PM)は、不動産に関する資産管理を主に行う業務で、投資用不動産の所有者や所有者の資産管理代行業者であるアセットマネジメント(AM)会社から受託して行われます。この業務には、建物の物理的な維持・管理、テナントの誘致や交渉、賃貸借業務の代行、賃料や共益費の請求・回収、トラブル対応などが含まれます。さらに、投資用不動産の場合、プロパティマネジメント・レポートを定期的に作成し、所有者やAM会社への報告義務があります。

具体的な業務内容としては、賃貸管理(リーシングマネジメント)、設備管理とメンテナンス、テナントマネジメント、資産管理(コンストラクションマネジメント)などが挙げられます。これらの業務を通じて、収益最大化を目指し、テナントへの行き届いたサービス提供や、環境への配慮、コミュニティへの貢献など、社会的な要請にも応えながら物件を運用することが求められています。

プロパティマネジメント業務には、必須の資格はありませんが、宅地建物取引士(宅建士)や管理業務主任者などの資格が有利とされることがあります。これらの資格は、不動産業界での就職、昇格に役立つだけでなく、業務を行う上での知識としても重要です。この分野は、不動産のプロフェッショナルがオーナーに代わって収益不動産の運用および管理を行う重要な役割を担っています。

ビルディングマネジメント(BM:Building Management)

ビルディングマネジメント(ビルマネジメント)は、ビルや商業施設などの建築物の総合的な管理運営を行う業務です。オーナーや不動産投資家に代わって、営業活動、経理、事務、対外交渉、収益確保など建築物の経営全般にわたる業務を担当します。1980年代まではビルオーナー自身がこれらの業務を行うことが多かったですが、不動産を取り巻く環境の変化や管理コストの削減ニーズなどから、専門的にこれらの業務を行うビルマネジメント事業が生まれ、特にバブル景気以降、その動きが加速しました。

具体的なビルマネジメントの業務には、テナントの誘致、賃貸借業務の代行、賃料や共益費の請求・回収、コスト管理、修繕計画の立案・実行、施設内イベントの管理、契約交渉、コンプライアンス管理、防火管理などがあります。これらは施設管理業務の統括にも関わり、清掃業務、警備業務、設備管理、駐車場管理などを含みます。

ビルマネジメントは、ビルメンテナンスや設備管理としばしば混同されがちですが、これらはビルマネジメントに含まれるサブセットという位置づけにあります。ビルマネジメントが施設を総合的に運営管理する役割を持つのに対し、ビルメンテナンスは施設の警備、清掃、設備管理などを行う業務で、設備管理は設備の保守管理に特化した業務です。つまり、ビルマネジメントが全体的な運営管理を指し、ビルメンテナンスや設備管理はその中の特定の業務に焦点を当てています。

ビルマネジメントの具体的な業務内容には、建物の清掃・景観管理、設備の管理や点検、警備・防災・巡回などが含まれ、これらは主に物件や付帯設備を対象としています。

ビルマネジメントに必要な資格には、ファシリティマネジャー、建築物環境衛生管理技術者、宅地建物取引士、ビル経営管理士、統括管理者などがあります。これらの資格は、ビルマネジメントの業務を遂行する上で有利となり、また必要な知識を提供します。

ファシリティマネジメント(FM:Facility Management)

ファシリティマネジメント(FM)は、企業や団体が組織活動を支えるために、施設とその環境を総合的に企画、管理、活用する経営活動のことを指します。これには、土地、建物、構築物、設備などのファシリティを経営にとって最適な状態で保有し、使用し、運営するための総合的な経営活動が含まれます。FMの目的は、コスト最小化と効果最大化を達成することにあり、経営組織のなかで、人事、ICT、財務とともに重要な機能分野と位置づけられています。

FMとプロパティマネジメント(PM)はしばしば混同されがちですが、両者は異なる焦点を持っています。PMは一般的に不動産の運営管理を行うことを指し、例えば入居者の契約管理や家賃の集金など不動産に関する管理業務を主に扱います。一方で、FMは施設全体とその使用環境の最適化を追求し、経営の効率化、従業員や顧客の満足度向上、企業の社会的責任の遂行などを目指します。

バブル崩壊以降、建設資金の調達が難しくなり、スクラップ&ビルドを前提に建てられた建物の老朽化で運用コストが増加したことから、ファシリティマネジメントに改めて注目が集まっています。また、1997年より日本においてファシリティマネジメント認定資格である「認定ファシリティマネジャー(CFMJ)」の認定試験が開始され、ファシリティマネジメントの考え方が広く浸透しています。

従来の施設管理と比較して、ファシリティマネジメントはより戦略的かつ経営的な視点から施設の最適化を図ります。例えば、空調が故障した場合、従来の施設管理では修繕や買い替えを行いますが、ファシリティマネジメントではその空調がそもそも必要かどうかを検討し、必要であれば省エネルギータイプのものに替えるなど、最適な対応を考えます。

ファシリティマネジメントにより、経営の効率化、従業員や顧客の満足度向上、コスト削減など多くのメリットが期待されています。

プロパティマネジメント(賃貸管理)の業務内容

プロパティマネジメントは、賃貸不動産を所有するオーナーに代わって、不動産の管理や運営を行う業務を指します。主な業務内容は以下のとおりです。

空室対策、空室募集業務(入居者募集・テナント誘致)

不動産の利益最大化を目指し、空室の発生を防ぎ、空室が出た際には迅速に新たな入居者やテナントを募集し誘致します。これには市場分析、広告戦略の立案、仲介業者との連携などが含まれます。

入出金管理業務

家賃や共益費などの入金管理、物件の維持管理や修繕に関わる出金管理を行い、オーナーへの報告や収益の最適化を目指します。

クレーム、トラブル対応業務

入居者からのクレームやトラブルに迅速に対応し、問題解決を図ります。これには、入居者間のトラブル、設備の故障などが含まれます。

新規、更新契約業務

新たな入居者との賃貸契約の締結や、契約更新時の手続きを行います。契約内容の確認や条件の交渉もこの業務に含まれます。

解約、精算業務

入居者の退去時には、解約手続きを行い、敷金の精算や退去時の物件状態の確認を行います。

工事発注、進捗管理

物件の改修や修繕が必要な場合には、適切な業者を選定して工事を発注し、工事の進捗状況を管理します。

ビルマネジメント(建物管理)の業務内容

ビルマネジメントは、ビルや商業施設などの建物全体の管理・運営を行う業務です。こちらの主な業務内容は以下の通りです。

建物、設備管理・保守点検

定期的な保守点検を実施し、建物や設備の維持管理を行います。これには、電気設備や空調設備、エレベーターなどの定期的な点検が含まれます。

修繕業務

老朽化や故障による修繕が必要な場合には、迅速に修繕工事を行います。修繕計画の立案や修繕業務の監督も行います。

保安警備

建物内の安全を確保するために、保安警備業務を行います。これには、監視カメラの管理や警備員の配置などが含まれます。

防災

建物内の防災対策を計画・実施します。火災警報器の点検や避難訓練の実施など、災害発生時の安

清掃、衛生

清掃業務には、日常の清掃活動から定期的な深部清掃、特別な清掃が必要な事象への対応まで含まれます。これらの活動は、建物の美観維持はもちろん、利用者の健康と安全を守るために不可欠です。

ファシリティマネジメント(施設の運営管理)の業務内容

ファシリティマネジメント(FM)の業務内容は、企業や団体が組織活動のために施設とその環境を総合的に企画、管理、活用することを目的とした経営活動を指します。この業務は、施設や設備を効果的に活用し、最適な状態で維持するための幅広い活動を含みます。具体的な業務内容には以下のようなものがあります。

施設の最適化

施設の最適化では、施設がその機能を最大限に発揮できるよう配置や利用方法を計画します。これには、施設のレイアウト変更、新技術の導入、または既存設備の更新などが含まれます。目的は、効率的な運用と最適な作業環境の提供にあります。

維持管理

維持管理には、施設や設備の定期的な点検、必要に応じた修理や改修作業が含まれます。目標は、施設が長期にわたりその価値を維持し続けることです。これにより、施設の寿命を延ばし、大規模な修繕や交換の必要性を減少させます。

コスト管理

コスト管理は、施設運用にかかる費用を効率的に管理し、不必要な支出を削減することを目的とします。これには、エネルギー消費の最適化や、資材の共同購入によるコスト削減などが含まれます。

安全管理

安全管理では、施設利用者の安全を確保するための対策を講じます。これには、防火・防災訓練の実施、安全標識の設置、非常時の避難計画の策定などが含まれます。

環境管理

環境管理は、施設運用が環境に与える影響を最小限に抑えることを目的とします。これには、エネルギーの効率的な使用、廃棄物の適切な処理、緑化活動などが含まれます。

施設利用の企画・管理

施設利用の企画・管理では、施設の使用方法を計画し、施設が最大限に活用されるように管理します。これには、イベントのためのスペースの予約管理、施設のレンタルサービスの運営、利用者のニーズに応じたサービスの提供などが含まれます。

不動産投資においてはプロパティマネジメント(PM)が重要

ビルマネジメント(BM)とプロパティマネジメント(PM)は、不動産管理において重要な役割を担っていますが、その目的とするところには根本的な違いがあります。BMは建物の物理的な管理と運営に焦点を当てており、設備の保守点検や修繕、清掃といった建物の維持を主な業務とします。

一方、PMは賃貸管理を中心に、入居者の募集や契約、賃料の徴収、入出金管理などの業務を担当します。この違いから、BMは建物を長期的に維持することに価値を見出し、PMは収益性の最大化を目指します。そのため、不動産投資家としては特にプロパティマネジメント(PM)の方が関係が深くなります。

日本に不動産投資では総合管理が多い

オーナー目線を持つ管理会社は、オーナーの資産価値の最大化を第一に考え、BMとPMの業務を効果的に統合します。オーナーの目的に沿った戦略的な物件管理を行い、物件の特性や市場環境を踏まえた上で、最適なサービスを提供します。

建物の長期的な維持管理と収益性の向上の両立を目指し、オーナーにとって最大の利益を生み出すことを目的としています。オーナー目線の管理会社は、単に業務を遂行するだけでなく、オーナーと共に物件の価値を高めていくパートナーとしての役割を果たします。

一元的な管理体制のもとでの効率化やコスト削減、賃貸市場の変動に柔軟に対応する能力の強化などが挙げられます。また、建物の維持と収益性の向上を両立させることで、物件の資産価値を長期的に保持・向上させることが可能になります。

建物の維持管理に必要な投資が収益性に及ぼす影響を正確に把握し、必要な修繕や改善を行いつつも、適切な賃貸条件を設定し、入居者満足度を高めることで長期的な収益性を確保するバランス感覚が求められます。

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