2022年12月06
不動産投資の節税
「はじめての不動産投資ガイド」プレゼント!
最近手軽に始められると、サラリーマンに人気の資産形成として不動産投資がよく挙げられます。不動産投資を始める理由として、長期的な資産形成だけでなく、短期的に節税効果が期待できることがメリットとしてあります。
しかし、不動産投資初心者の方にとっては本当に節税効果があるのか疑問を持っている方もいると思います。今回は本当にサラリーマンの方が不動産投資を行うことで節税効果があるのか、どれぐらい節税効果が期待できるのかを解説していきます。
目次(Index)
まずは不動産投資による不動産所得の計算方法から覚えておきましょう。不動産所得は不動産投資を通して「どれぐらいの収益があったか」を指します。
不動産所得の計算方法はとてもシンプルです。
不動産所得=家賃収入-経費
不動産投資の収入は賃貸で貸している入居者からの家賃収入になります。
逆に不動産投資の経費はイメージが付きにくいと思いますが、下記のような経費があります。
このように家賃収入から不動産投資に必要な経費を引いた額が不動産所得になります。
先ほど経費の中の一つにあった「減価償却費」が不動産投資の節税においてポイントになります。
「減価償却費」とは、毎年建物は経年劣化するため価値が減少していくと考えられています。その下がった価値を経費として計上するための会計上の項目が「減価償却費」になります。
構造 | 法定耐用年数 |
木造 | 22年 |
軽量鉄骨 | 27年 |
重量鉄骨 | 34年 |
RC(鉄筋コンクリート) | 47年 |
SRC(鉄骨鉄筋コンクリート) | 47年 |
「減価償却費」には建物の構造毎に法定耐用年数という償却期間が設定されています。この法定耐用年数が短ければ短いほど、減価償却のスピードが早くより節税効果が高くなります。
本業の給与所得が500万円、不動産所得が-250万円とした場合、実際に損益通算で課税対象となる所得は差し引き250万円になります。
もちろん、実際に減価償却費はお金として出ていくものではありませんが、経費として計上できるためトータルの課税所得を抑えることができるため有効な節税効果があります。
ちなみに減価償却費には建物だけが含まれていて土地は含めません。土地は購入から年数が経っても価値が落ちると考えられていないため、減価償却費には建物の費用だけが含まれます。
不動産投資によって節税効果があることは事実ですが、本来の不動産投資の目的はあくまで家賃収入による安定的な収入確保(インカムゲイン)、物件の資産価値が上がったタイミングで売却した利益(キャピタルゲイン)にあります。
不動産投資は利回りやキャッシュフローを改善して、「どれぐらい稼ぐことができるのか」という考えのもと行うべきで、節税効果自体はあくまで付属的なメリットと考えるのが良いでしょう。
節税効果は不動産契約者の年収、物件によって変動するため、節税効果だけを目的とした不動産投資はあまりおすすめができません。
不動産契約者の年収が高ければ高いほど、課税額が大きいため節税効果が期待できますが、一定の年収が無ければ、思ったよりも節税効果が期待できないでしょう。
確定申告の際に青色申告を利用することで10万円の特別控除を受けることができます。もしもワンルームマンションを10室以上所有している場合、不動産投資事業として最大65万円の特別控除を受けることができます。
青色申告の申告方法は税務署に「青色申告承認申請書」を提出することで申告ができます。これから青色申告を考えている方は事業開始から2か月以内、前年以前より事業を開始している場合、申告年の3月15日を期限として考えておきましょう。
サラリーマンが不動産投資で節税できる代表的なものとして所得税が考えられます。所得税は「本業である給与収入」に加えて不動産投資で得られた「家賃収入などの不動産所得」を合算した総所得に課せられる税金になります。
先ほど説明したように、本業の給与収入と不動産投資で発生した不動産所得を合算する損益通算という仕組みがあるため、不動産投資で家賃収入よりも経費が多ければ、不動産所得がマイナスなって給与収入と相殺して課税される総所得が少なくなり、所得税を抑えることが期待できます。
所得税額の計算式は下記になります。
所得税額=(給与収入+家賃収入-経費-所得控除額)×所得税率-税額控除額
都道府県や市区町村のサービスを受ける税金として代表的な住民税も所得税の計算と同様に損益通算によって抑えることができます。
住民税は均等割と所得割の2種類あります。均等割は所得に関わりなく金額は一律です。一方、所得割は所得に対して一律で10%が課税されるため、所得が大きくなれば課税額も大きくなります。
住民税も所得税がマイナスになれば、連動してマイナスになります。
また相続税に関しても節税できる税金になります。最近では相続税対策として不動産投資をされる方が増えています。相続税対策として有効な理由は、現金で相続するよりも投資不動産で相続した方が課税額を抑えることができるためです。
仕組みとしては、投資不動産は購入時から少しずつ評価額が下がるため、そのまま現金で相続するよりも投資不動産に置き換えた方が課税額を抑えることできるということです。目安としては現金で相続するよりも50~70%抑えることが期待できます。
実際に年収650万円のサラリーマンの方が不動産投資を行うことで、どれぐらい節税効果があるのかシミュレーションを行ってみます。
節税シミュレーションは下記の順番に進めます。
順番に説明していきます。
サラリーマンで年収が650万円の場合、各控除額などは下記になります。ちなみに保険料は年収に14.4%をかけることで求めることができます。
年収が異なる場合、下記の表に当てはめて控除額を確認してください。
合計所得額 | 控除額 |
2,400万円以下 | 48万円 |
2,400万円~2,450万円 | 32万円 |
2,450万円~2,500万円 | 16万円 |
2,500万円以上 | 0円 |
給与等の収入金額 | 給与取得控除額 |
1,625,000円まで | 550,000円 |
1,625,001円~1,800,000円 | 収入金額×40%-100,000円 |
1,800,001円~3,600,000円 | 収入金額×30%+80,000円 |
3,600,001円~6,600,000円 | 収入金額×20%+440,000円 |
6,600,001円~8,500,000円 | 収入金額×10%+1,100,000円 |
8,500,001円以上 | 1,950,000円 |
課税所得額は年収から控除額や社会保険料を差し引くと算出できます。
年収-(基礎控除+給与所得控除+社会保険料)=課税所得額
650万円-(48万円+174万円+93.6万円)=334.4万円
課税所得額に対する控除額を確認します。
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
1,949,000円以下 | 5% | 0円 |
1,950,000円~3,299,000円 | 10% | 97,500円 |
3,300,000円~6,949,000円 | 20% | 427,500円 |
6,950,000円~8,999,000円 | 23% | 636,000円 |
9,000,000円~17,999,000円 | 33% | 1,536,000円 |
18,000,000円~399,990,000円 | 40% | 2,796,000円 |
40,000,000円以上 | 45% | 4,796,000円 |
課税所得額から控除額等を引いた24.13万円が所得税になります。
課税所得額×課税税率-控除額=所得税額
334.4万円×20%-42.75万円=24.13万円
ここでもし不動産投資で20万円の赤字が発生していた場合、損益通算で課税所得額から赤字分を差し引きします。
334.4万円-20万円=314.4万円
損益通算で課税所得額が減少するので、再度所得税を計算します。
314.4万円×20%-42.75万円=20.13万円
24.13万円-20.13万円=4万円
不動産投資の赤字分を損益通算したことで、24.13万円-20.13万円=4万円の節税結果があることが分かります。
年収から住民税の基礎控除、給与所得控除、社会保険料を差し引いて住民税の課税所得を算出します。
順番に説明していきます。
合計所得額 | 控除額 |
2,400万円以下 | 43万円 |
2,400万円~2,450万円 | 29万円 |
2,450万円~2,500万円 | 15万円 |
2,500万円以上 | 0円 |
住民税の課税所得額は339.4万円になります。
年収-(基礎控除+給与所得控除+社会保険料)=課税所得額
650万円-(43万円+174万円+93.6万円)=339.4万円
住民税は均等割、所得割など他の要素で構成されていますが不動産投資を行う人に関係してくるのが所得割になります。
住民税の所得割は市町村民税が6%、都道府県民税が4%で合計10%となっています。
339.4万円×10%=33.94万円
ここでもし不動産投資で20万円の赤字が発生していた場合、損益通算で課税所得額から赤字分を差し引きします。
339.4万円-20万円=319.4万
319.4万円×10%=31.94万円
33.94万円-31.94万円=2万円
不動産投資の赤字分を損益通算したことで、33.94万円-31.94万円=2万円の節税結果があることが分かります。
鉄筋コンクリート造(RC造)のマンションは法定耐用年数が47年ですが、木造物件は22年と短いので減価償却のスピードが早く、22年までは減価償却費を計上できるのでキャッシュフローが安定します。
しかし、23年目以降は減価償却費の計上ができなくなるため、高い税金を支払う必要があります。そのため、キャッシュフローが一気に悪くなるリスクがあります。
木造物件と比較して、鉄筋コンクリート造(RC造)のマンションは物件価格が高くなりますが、火事や地震にも強く、資産価値が安定していることから中長期的な投資としては最適です。
投資物件選びで重要なポイントでもある、入居者付けの観点でも「鉄筋コンクリート造(RC)」を希望する方が増えているので家賃が割高でも空室リスクが生じにくいメリットがあります。
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