2023年02月28
不動産投資の節税
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目次(Index)
不動産投資におけるシミュレーションは収益と節税の2つのシミュレーションを指していることが多いでしょう。不動産投資は投資手法の中でも中長期の投資になるため、運用期間中にさまざまなリスクが発生する可能性があるのでシミュレーションを作る際もリスクを考慮する必要があります。
収益シミュレーションでは、毎月得られる家賃収入から毎月支払いが必要なローン返済額や管理・修繕費用など踏まえてキャッシュフローがどうなるのかを予測するものになります。例えば、入居者の退去から一定の空室期間が発生して家賃収入が得られなかったり、部屋の設備が故障して修繕費用が発生するなどを投資物件によって検討する必要があります。
節税シミュレーションでは、不動産投資を行うことによって所得税・住民税・相続税などの各種税金の節税効果を具体的に数値にとして算出していきます。所得税・住民税の節税は不動産投資所得の赤字を本業の給与所得と損益通算して、課税所得を減らすことで税金を抑えることができます。相続税は亡くなった方の財産を相続した相続人に課せられる税金です。相続する資産を不動産に変換することで、時価の約7~8割程度の相続税評価額に抑えることができます。
不動産投資のシミュレーションを作成する上で必要な情報は以下のようなものになります。
種類 | 項目 | 例 |
---|---|---|
物件 | 築年数 | 築15年 |
専有面積 | 30㎡ | |
エリア | 大阪市 | |
販売価格 | 2,000万円 | |
購入諸費用 | 50万円 | |
家賃 | 6万円/月 | |
管理費・修繕積立金 | 6,000円/月・5,000円/月 | |
属性 | 職業 | 上場企業 |
年収 | 700万円 | |
自己資金 | 500万円 | |
借入 | なし |
物件に関する情報だけではなく、契約する方の属性に関する情報も必要になります。物件の購入時には諸費用が必要になります。諸費用には印紙税、仲介手数料、不動産取得税、固定資産税・都市計画税などがあります。詳しくは下記の記事にまとめていますので参考にしてください。
収益シミュレーションの計算式で最もシンプルなものが「家賃収入-(経費+ローン返済額)」になります。
実際に数値を当てはめると「80,000円-(7,000円+7,000円+57,551円)=5,449円」となって、毎月の収益は5,449円になります。ここから賃貸管理業務を不動産会社に委託する場合、賃料の4~5%が管理費として必要になります。
本格的に年単位でのシミュレーションを行う場合、無料で使えるシミュレーションソフトを活用するのがおすすめです。以下にダウンロードリンクを記載しますので参考にしてみてください。
不動産投資がどのようにして節税効果を生み出すのか確認しましょう。年収700万円の想定でシミュレーションを行います。
給与所得は収入金額に応じて定められている給与所得控除額を差し引いて算出します。年収700万円の方は「収入金額×10%+1,100,000円」になります。
給与等の収入金額 | 控除額 |
---|---|
1,625,000円まで | 550,000円 |
1,625,001円〜1,800,000円まで | 収入金額×40%-100,000円 |
1,800,001円〜3,600,000円まで | 収入金額×30%+80,000円 |
3,600,001円〜6,600,000円まで | 収入金額×20%+440,000円 |
6,600,001円〜8,500,000円まで | 収入金額×10%+1,100,000円 |
8,500,001円以上 | 1,950,000円(上限) |
700万円×10%-110万円=180万円
700万円-180万円=520万円が給与所得になります。
年収700万円の人の社会保険料控除は約101万円です。基礎控除の48万円との合計149万円を給与所得520万円から差し引きます。
520万円-149万円=371万円が課税所得になります。
次に371万円の課税所得の人の所得税と住民税を計算します。
所得税は累進課税のため、次のとおり課税所得金額に応じた7段階の税率が設けられています。
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
1,000円 から 1,949,000円まで | 5% | 0円 |
1,950,000円 から 3,299,000円まで | 10% | 97,500円 |
3,300,000円 から 6,949,000円まで | 20% | 427,500円 |
6,950,000円 から 8,999,000円まで | 23% | 636,000円 |
9,000,000円 から 17,999,000円まで | 33% | 1,536,000円 |
18,000,000円 から 39,999,000円まで | 40% | 2,796,000円 |
40,000,000円 以上 | 45% | 4,796,000円 |
個人住民税の税率は区市町村民税6%、道府県民税・都民税4%で合計10%となります。
所得税は371万円×20%-42万7,500円=31万4,500円
住民税は371万円×10%+5,000円=37万6,000
不動産投資を行っている場合、まず最初に給与所得と不動産所得を損益通算します。371万円-50万円=321万円が課税所得になります。
所得税は321万円×10%-9万7,500円=22万3,500円
住民税は321万円×10%+5,000円=32万6,000円
69万0,500円-54万9,500円=14万1,000円が不動産投資によって節税できる金額になります。
不動産投資を行っていると思いもよらないリスクが発生することがあります。例えば、空室リスクや物件価格の下落リスクになります。このようなリスクを想定したシミュレーションを複数パターン作成しておくことである程度将来の予測が可能になります。
シミュレーションを行うことでリスクを数字という形で視覚化できます。「ローン返済に無理がないか」「収支計画がどのようになっているか」「リスクが発生したときにどのくらいの損失が考えられるか」など得られる情報がたくさんあります。
日本では新築物件の価値が非常に高くて、年数が経過するにつれて資産価値が落ちると考えるのが一般的です。そのため、新築時は入居率が高く想定するのは問題ありませんが、築年数に合わせて入居率を下げてシミュレーションを行うようにしましょう。
また同様に家賃設定も築年数に合わせて下げてシミュレーションを行うほうが正確な数値が出ます。基本的には毎年1%ずつ下落する想定で設定するのが良いでしょう。
定期的に投資物件の周辺エリアの家賃相場を確認するようにしましょう。周辺相場が上がっているのであれば、家賃設定を強気に少し上げてもさほど影響にならないでしょう。逆に相場が下がっているのであれば、家賃設定を下げなければ入居率に影響がある可能性があります。
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